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カラーを活かすコラム

人間がピアノを練習し、演奏する意味は何なんだろう。

2022年春、本宮市に新しくピアノ教室ができました。
「I&I アヤナイ・ミュージック」といいます。

 

文藝春秋「フジコ・ヘミング 魂の音色を奏でるピアニスト」というムック本に、こんな文がありました。

 

「今日の調子? 悪くはないわ。でも本番では何が起こるかわからないからね。
機械ならいつでも同じようにひけるけど、私は機械じゃないから、ゼンマイ巻いたらいつも同じ音がでるわけじゃないのよ。」
フジ子・ヘミングが、あるコンサートのリハーサルで口にした言葉だそうです。

 

最近思うことがあります。
コンピューターはどんな技巧でもどんなスピードでも弾けてしまいます。
どんな難曲でも、いとも簡単に弾いてしまいます。
微妙な表現もプログラムして、人間の演奏と比べてみたら、きっと機械のほうが素晴らしい演奏をするに違いない。

 

それでも人間がピアノを練習し、演奏する意味は何なんだろう、と。

 

むしろ機械のようにいつでも同じように弾けないことに、楽しみを見つけ、演奏することに喜びを見出し、そして、それが聴く人の心を揺さぶるのは、どうしてなんだろう。

 

機械と人間はなにが違うのだろう。
心が動くとはどういうことなんだろう。
しばらくのあいだ、ピアノという楽器を巡って考えていきたいと思っています。

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