まだ30代の頃、会社で常務という役職についたばかりのとき
会社の人と食事にいって、つい何気に
「馳走するんだから、このプロジェクトしっかりやってね!」
と言ってしまったことがあります。
それを聞いた社長に、後日静かに叱られました。
「してやったことを振りかざして、人になにかお願いなんてするもんじゃない」
恥ずかしいことを言ってしまったなぁと反省しました。
自分だって、してあげたことは覚えているとしても、してもらったことは忘れてしまう。しょっちゅうというか、ほとんど忘れてしまう。
してあげることは、自分がそうしたくてしているだけで、恩の押しつけみたいなことはしてはいけない。
そのかわり、してもらったことは、忘れてしまう前に、きちんと心を込めてお礼を言う。
そうすると、無意識に心に刻まれるんだと思うのです。
ピアノに置き換えて考えてみたら、今ピアノを弾けるのは、子どもの頃にその環境を整えてくれた両親と教えてくれた先生のおかげ。
今でもピアノを続けていられるのは、こんな大人でも上手に扱ってくれる先生のおかげ。
してもらっていることばっかり。
おごっちゃだめだ。
ピアノの上のホコリを払おう。
今日も弾かせてくれてありがとう。
No.89